自筆証書遺言の方式 2019.1.13〜
この件は、DayLife 1月号でも書かせていただきましたが、重要な部分ですので、再度確認したいと思います。
現行では全ての文章を自筆で書かなければならなかったため、高齢者にとっては負担でした。本改正では、財産目録についてのみ、別紙としてパソコンで作成した書面や登記事項証明書、預金通帳のコピーなどを添付する形式で良いことになり、書面作成にかかる負担がかなり軽減されました。
ただし、別紙の全ページに署名捺印が必要とのことですので注意が必要です。
自筆証書遺言の保管制度創設-1 2019.7.1〜
現行、自筆証書遺言は封印し家の金庫等で保管しておき、相続発生時に開封せずにそのまま家庭裁判所にて検認手続を行った後、ようやく遺言執行ができるというような流れでした。
問題だったのは、遺言書の方式不備、紛失、偽造リスク、検認にかかる時間、労力、経費負担などです 本改正後は、遺言書を法務局で保管してもらえるようになります。保管の際には法務局で方式不備がないか?の最低限の確認はしてくれるようです。
なお、保管申請は必ず遺言者自身がする必要があり、代理申請はできません。
また、条件として「法務省令で定める様式」で作成した「無封」の遺言書である必要がありますので、注意が必要です。
ちなみに、この制度を利用する場合、法務局では、遺言者の本人確認と遺言書の形式審査が行われます。
形式審査とは、日付の誤りがないか、署名・捺印もれなど、遺言書の方式に不備がないかを確認する作業のことです。
どこまで細かくチェックされるかは不明ですが、現実的に考えると、ここでは簡易的な方式チェックに止まると思われますので、遺言者の現状確認や将来の想い、権利関係、税金関係、相続後の資産管理、運営、経営など、細かい部分で「ここには配慮された方が良いですよ。」などのアドバイスまでは期待できないでしょう。
法務局の業務はあくまでも、方式不備のない遺言書の保管業務ですから、その辺りのアドバイスと言うよりは指摘などに止まると思われます。
このようなことから、やはり遺言書の内容などについては、現状把握の上、全体像を確認しながら、別途コンサルタントなどの専門家と協力して作成されることを強くお勧めします。
次コラムに続く
株式会社デザインライフ
相続コンサルタント 杉村 洋介